………ギィ………
[名前を呼ぶ愛おしい声に反応する。もはや彼を求める感情の根源は、ニンゲンだった時のものか、肉を求む獣のものか判断がつかなかった。
近付けば壊してしまう──
分かっていたのに。それでも傍に居たかった。何とかなると思っていた。この獣の血を軽視していたのかもしれない。
ゆっくりと振り返れば、その顔は泣き腫らした酷いもので、瞳は朱と琥珀の間で揺れている。]
どう……して……?
[ギィが無事であることに安堵感が広がり、しかし何故ここに彼が居るのか、混乱する。
今一番会いたくて
今一番会いたくない相手
掠れた声は辛うじてヒトの言葉を保っていたか。]