僕が幼い頃、「妖星を調べに行く。」と、 言葉を残して父は家を出て行った。 あれから何年過ぎたろう。 もう片手で数えられる年数はすぎて、 もうすぐ両手でも足らなくなる。 あれ以来、帰ってくるどころか、 手紙のひとつもない。 きっと村の人の言うことが本当なのだろうと、 そうだね、なんて言ったことはないけれど、 そうなんだろうと思う。