[ 面食らうその人に、テオドールはしがみ付いた。
当り前だろう。テオドールがパパと呼んだその人はまだ十代の最後。
早い者は結婚していることもあろうが、こんな大きな子供がいるはずもない。
……その頭上に影が差した。
眠りから目覚めたトロールが、怒りと共に腕を振り下ろしたのである。 ]
『 気をつけろ! 』
[ ふたりを救ったのは、明るい金髪の放蕩者……若い騎士たちを門までの遠足に連れ出していた自称吟遊詩人だった。
テオドールはこちらも知っていた。 ]
アランおじさん!
[ 他の遠足の参加者も、次々にトロールに立ち向かった。
歌っているのはローズマリー。
前衛には騎士フランツ。
キアラもいた。騎士団員ではないが、門を見たいと着いて来たのだろう。
それと、荷物持ちの従騎士が数名。
全員、テオドールの知っている顔だった。