[そっと布団を抜け出し、寝息を立てる彼を覗き込めば
…いつもとはまた違った、彼がそこには居て。
……彼の唇に、自らのそれを重ね。
ほんの一瞬だったけど、自分が無意識に取った行動に動揺を隠せず…愛用銃がカタリと音を立てた。
えへへ…
ボクのはじめての…ファーストキッス、あっげーる…です、よ。
(――ゲルトさんが起きる気配はない。
でも、それが一番いい。あなたに見せる最期の顔は、笑顔がいい。
また、ここに戻って…彼の温もりを感じて、何食わぬ顔で起きて、ゲルトさんに「おはよう」って言う。
感情に流されたっていい。ゲルトさんの事をきちんと見て…
今度こそ、信じるんだ)
[頬をびしゃっと叩くと、扉へと向かう。そうして、一度だけ振り返り]
―――ゲルトさん、いってくるですねっ!