[手洗い場に置きっぱなしになっていた回覧板を見つけると、ペチンと額を軽く叩いてからそれを手に取ろうとして……スカッと手が空を切った]
……ん?
[何度も何度も回覧板を手に取ろうとチャレンジするが、一向に触れれる気配がしない。
目の錯覚かもしれないが、自分の手が回覧板をスカスカと通り抜けているように見える。
そんな馬鹿な]
もしかして、第二閲覧室にいた事が夢だったんじゃなくて、今のこの瞬間こそが夢の中なのか?
[回覧板を取るのを諦めて、ふんっ!と大きく鼻で息をすると腰に手を当て、目の前にあった何となく鏡を眺めてみる…と、ある事に気がつく]
どうして私が映っていないんだ…?
[鏡の真正面に立っているはずなのに、鏡には自分の姿はうつっておらず、向い側の壁を映しているだけだった]