[長く間を置かずして、駆けるように家を出る。空に月はなく、辺りは静寂と暗闇に包まれている。もう、遠吠えは聞こえなくなっていた]ヴィオ。[不安があるのは分かっていた筈だ。それなのに、どうして彼女を置いて帰ってしまったのか]――…ヴィオ![雪の上を走りながら、彼女の名を呼ぶ。まだ花屋は遠いのに、どうして。……混乱しながらも、理性で否定しながらも、何処かで悟っていたのだ。オクタヴィアは、きっと]