神父 ジムゾン

[何が起こったのか。
予言、尋常ではない様子、儀式。
何か常にないことが――と、
そこまで考えてふと、気付く。
いや、自分の思考を自分自身で殴りつけた、
と言った方が良いかもしれない。

考えるべきことはどれほど多く、混乱の極みにあろうと、
『そういうときこそ、現実を見て動け』

そもそも日頃から体調が優れないのだ、
まずはそれを考えるべきだ――と、
どうにかそれを思い出す。

皆はどうしていただろう？
自分はまずは、ゲルトの様子を確かめながら、
口を開く。]

　
　　宿に運ぼう、きっと薬がある。
　　考えることは色々あるが、
　　まずはゲルトのことだ。
　　誰か運ぶの手伝ってくれないか？


[そう語る声は、どうしたところで、
落ち着いた響きとは言い難い。
それでも、『今はまず、するべきことをする』と、
そう告げる音にすることは、出来ただろう。]