― 魔王の離宮・中庭 ―>>1123
[ 相対した娘の名乗りは既に耳へ届いていた。
離宮内に住まう魔物らの悲鳴や断末魔を聞き留めて、魔王の表情には僅かに憂いの色があった。]
ふむ。
しばらく離れておれ、とは言ったのだがな……逃げもせなんだか。
それも良かろう、あやつらが望んだのだからな。
[ 独り言に呟いたのは、女騎士に遭遇した魔物達の末路を察しての言葉。顔をしかめ、ため息を吐く彼女の様子にうっそりと眼差しを返した。]
ほう?
先の矢を見ておらぬと申すか。
[ 騎乗の内に放ったものゆえ。>>1121
誰が用いた魔術か分からぬのも道理、と短く笑う。]