[低く落として彼を掴んでいた手を放せば、身体は力なくごろりと甲板上に転がった。これ以上、指一本だって動かしたくない。一番痛むのは左の腕、けれど体当たりを受けた腹も右足を叩きつけられた脇腹も負けず劣らず痛むのだ。そう意識すると、息がちょっと咽た。全身が痛む。………なのに、心は馬鹿みたいに晴々としているのだ。]俺も、負けだ。[これ以上は動けそうにない。そう示して、同じく寝転がっているタクマに見えるように右手をひらりと一度振った。そのまま、彼の肩をこつんと小突き、]