― 魔王の離宮・中庭 ― >>1092
[ 白光を伴った軌跡の一閃。
最期の悲鳴をあげることもなく、魔王が対峙していた男は斃れた。]
いずこの占い師とも知らぬが……無為なことを。
大方、配下の者がおらぬ時と場、でも探り当てていたのだろうが。
[ 細剣を一振り。空を切る鋭い音と共に、僅かに残った襲撃者の血のりが払い飛ばされる。鞘に納め、離宮内へ戻ろうとしたが――]
……ほう?
新たな、討手か?
[ ぴたり、足を止めて振り返る。
門のはるか向こうには一騎の姫騎士の姿。
常人の眼ではとらえきれぬ距離から、その存在を察知した。]