俺からの卒業祝い。
あ、今回のはクッキーじゃない。
[試験中に一緒に食べた購買のくるみクッキーと袋の感じが似ていたから、そう笑う。
散々迷って選んだのは、硬質なペンだった。
手に馴染む重量から、それなりに上質なものと知れる。
軸に埋め込まれた金の石は、相手の瞳の色に似る。
幾度となく合わせて覚えた色だ、間違いはない。
石を入れたのは、いつか土産に貰ったものの意趣返しでもある。
日に透かせばキラキラと輝く宝石のような飴玉達は、急いで食べてしまうには惜しい。
先輩が卒業すれば尚のこと、暫くは傍に置いて、眺めることになりそうだから。]