― そして、何度目かの春 ―
ユーリエ、疲れた? 少し休もか。
[ ユーリエ、そしてヴィンセントの故郷。
ロストルム帝国西部のフェルゼンベルク地方にも
春が訪れようとしていた。
澄んだ空気はまだ肌寒く、肩を震わせるユーリエに
優しく上着をかけ、休憩できそうな岩に腰かける。 ]
ふー。
それにしても…ヴィンセントと会うのも久しぶりだなぁ。
いやーなんかこう緊張するね。
……籍を入れてから、お義兄さん、って呼ぶのかなぁ。
それとも式のあと?
うーん、タイミングがわからん。
[ 隣に座る小さな婚約者と、他愛のない雑談を交わす。
とても、幸せな時間だった。 ]