― 公国拠点・中級将校執務室 ―
ユーリエか……彼女も、もう……
フェルゼンベルク……
[ 帝国軍人に関する報告書を爪繰り、そこに記されていた名を目で追いながら、ひと時、士官学校へと思い馳せていた。 ]
ヴィンセント・アイゼンシュタイン……
フェルゼンベルクは魔器ギルドの街だったと記憶しているが、そのせいか?
すると、ラムスドルフ家襲撃犯が魔石技術そのものを抹消するつもりであったのが、すでに彼女とヴィンセントの方に技術が渡っていて魔法弾の実用化となった、ということだろうか……。
[ 考え込んでいるところに、扉をノックする音が響く。 ]
はい。どうぞ。
ああ、これは、
……お久しぶりです。
《猫》の御高名は耳にしております。まずは作戦成功と無事の帰還御苦労でした。>>735