― 草原 ―
>>992
[ いつかの春。草原には花が咲き乱れている。
風が草の海を靡かせ、緑が陽光を弾く。
馴染みの月毛馬の首を撫でながら、約束の場所へと向かっていた。 ]
また春だな。フルール。
お前の友達がいっぱいいるね。
[ フルール《花》という名の年老いた牝馬は、嬉しそうに花咲く草群れを進む。 ]
あんなに黒焦げだったのに、また緑が戻るって不思議だ。
炎でも緑の生命は耐えないんだなあ……すごいと思わないか。
[ やがて見えてくる木陰に、友人の姿。
お茶の支度の様子。柔らかな紅茶と香ばしいコーヒーの香り。
馬の上から手を振った。 ]
おーい、いま行く!