[だが、彼が決めた道である以上、受け入れなければならない。
今年の7年生で東寮を率いることができるほどの器の人物が、恐らく彼しかいなかったのだろう。
ソマリの包容力、外交手腕、広い視野と細やかな心配り、あらゆる観点から考えて、彼こそ「東寮長」にふさわしいということだ。
つまり、ソマリに西に居てほしいというのは、単なるカークの欲でしかない。
当然、自分も一緒に東に行くなどという提案は、我儘以外の何ものでもなく、受け入れられる訳がない。
と、きちんと頭を整理するには、あまりにも時間がなさ過ぎて。]
……明日。明日の朝になったら、ちゃんと「わかった」っていう。
ソマリのこと、送り出す。
だから……
[「今だけ、もう少し、このままで」という言葉は奥に飲み込んで、優しく自分の髪をなぜるソマリの肩に、涙で濡れた顔を埋めた。*]