― 帝国拠点偵察中の隠密ワンコ ―
――きゃいんっ!
[草むらや茂み、岩影などに目立たないように潜んで様子を見ていた柴犬が、飛来したスパイクを左後ろ足に受けて悲鳴をあげた。
口にくわえていた肉を落として、ぴょこぴょことあしを引きずり逃げ出す。
その肉は、帝国軍の雑兵Aがくれたものだった。
野良犬のフリしてるとたまにエサをくれる人がいる。
毒物さえ入ってなければ素直にもらうわんこたちでした。
ついでにもふ好きな人にはすなおにもふられもする。
もし追われたら必死に逃げるけど、さすがに公国側拠点に向かってはいかないよ]