― 回想・士官学校卒業前 ―
>>206
[ 子供のように、褥の柔らかさを楽しむみたいに寝転がって足をぱたぱたさせている同室者が呟くのに、眉を上げた。
常日頃元気な彼らしくない感傷的な雰囲気に何と返すべきか、迷って、そのまま答えを飲み込んでしまっている。
明かりを落とし、上段の寝台に上がるべく梯子に手を掛けると、また独り言のような言葉が聞こえてきた。 ]
……そうだな。
また、いつか戻ってこれたらいいな。
いつか。
[ こちらが相槌を打つも打たぬも関係なくノトカーが喋り続けるのはいつものことだ。
答えを期待されている訳でもないだろうと放っておく場合も多い。
しかし。 ]