羊飼い カタリナ

　好きなもの…んー…じゃあケーキ作ってくださいな。
　ふわっふわのおおきなやつ。
　それでいつも頑張ってる宿の人たちにも
　振る舞ってあげてくださいな？
　レジーナさんに、ラーちゃん、それにリーザ！
　疲れた時には甘いものが良いでしょう？

［　なぜ？ 宿の人達？
　　さあ？ なんででしょう？>>751
　　ここが宿屋だからじゃないかな？ とくすりと笑う。

　　でもね、ごめんなさい。オットーさん。
　　私は心のなかでいつも彼に謝っている。
　　
　　オットーさんが腕によりかけて作ってくれる
　　パンやケーキ…いや、彼のものだけじゃない。
　　どんな人のどんな料理も、私には全く同じ。
　　味を感じることがないのだ。

　　匂いはわかるから記憶をたどり想像はできる。
　　熱や食感もわかるから、料理の細やかな配慮…
　　そのパンがとても柔らかく、
　　生地がなめらかなのかはわかる。
　　でも、彼の力、パンの魅力の殆どを
　　私は知ることができない。
　　周りの様子に合わせて美味しそうに食べてるだけ。

　　だから、食に愛着を持つ様や>921
　　こうやって毎年投げかけてくれる言葉の思いが
　　いつも私の胸をチクリと刺してくる　］**