―回想:最後の朝礼―
[食堂に香るのは、紅茶ではなく珈琲の匂い――。
今まで過ごした西寮ではなく、東寮での朝を迎えたソマリは、
どこか不思議な心地と、相応の緊張を抱きながら、
ジェフロイの隣に立って、彼の言葉を拝聴していた。
最後に促され、東寮生へ新任の挨拶をする]
あー、と、これからお世話になるソマリ・イェーガーだ。
寮長なのに世話になるってのも、なんか変だけどな。
まァその辺は東寮の寛大な御心ってやつで許してくれ。
[冗談めかして言えば、所々で笑みの花が咲く。
他寮からの引越し寮長であれば、まずは親近感を抱かせるのが大事だ。
ソマリはそれを、感覚で分かっていた]