― 二年後・春 ―
[最後の一年に作ったフェルト人形は、東寮の象徴である獅子の耳を若干伸ばして可愛らしくしたものだったり、白猫の兄弟だろうかと思うほどふさふさな西寮の象徴である虎だったり。
また、二年掛かりとなっていた人形も、同室者に隠れて仕上げた。気に入らない部分の妥協を一切しなかったら、それだけの時間が掛かってしまった。
出来上がったのは最初にあげた狼の人形と対になるもの。
前分けにした金蜜色の髪、穏やかでも真直ぐ前を見つめる緑の眸。
誰よりも心優しい少年]
スティのイメージで作ってみたのだけれど、どうだろう。
僕の一番気に入ってるもので、多分最後の作品。
これはスティが貰ってくれる?
[ルームメイトのことを考えながら作ったのだと告白したら、何だか気恥ずかしくなってしまって。
初めてこの趣味を知られたときのように、顔を赤くしながらその人形を差し出した*]