―公国側前線拠点―[待機中の『猫』と『狼』に茶を供しつつ、次々と帰還する兵の流れを把握する。――外は既に、日が高くなっていた。第二特別分隊に集合がかかったのは、その直ぐ後だ。>>529若き大佐により簡潔に始められた挨拶に、膝を突き、深く頭を垂れて聞き入る。ベルンシュタイン大佐の声が、ふと途切れた。>>530 呼びかけに、一拍おいて顔を上げる。あの頃は眼鏡の向こうに隠されていた、蒼みを帯びた鋼の色が、無表情に上司を見る]