神父 ジムゾン

[神様はいると思うか？
この村で神に関する論争を誰かとしたことは、
恐らくあまりない。

外で神学だけを学んだならば、
恐らくはこの村の金狼様の信仰に影響を与えている
（墓石に刻まれた文字からも明らかだ）、
信仰の知識を深めて帰って来るのみだったろう。
けれど、他の領域にも視線を向ければ、
　・・・・・・・・・・・・・
　それ以外のものも見えてくる。

多くの神を抱く国や、自然科学と神の相克、
それは、論調によっては即、
異端と処されかねない知識だろう。

そのようなものを読み漁ってきたのは、何故か。
それはまあ、一言で言ってしまえば、
“村の外で戦争に巻き込まれたから”、ということだ。
生と死の交錯する場所で、神は常に傍に在った。

恐らく自分の信仰は、村の者たちのそれとは、
どこか異なるものではあるのだろう。
けれど、お前は神の在ることを疑うのかと、
疑念を覚えるものがいたとしたら、

――それは違う、と確かに答える。]