[好きに動け>>66>>67>>627、というだけの指示を受けた後。
大公暗殺を実行したのは、公国側の雇い主の意向によるもの。
『帝国に負ける事はできない』
『だが帝国に勝ちすぎてもいけない』
『求めるのは、和平でもどちらかによる併呑でもない。平等な条件での合併のみ』
『そのためには、戦で互いに疲弊し消耗しなければならない』
『だがそれも、他国から侮られ侵略を受けない程度に抑えなければならない』
積極的な開戦派でも、和平派でもない、公国の国務大臣。
当時の大公の年下の叔父であり、現大公の同い年の大叔父である侯爵。
そしてその息子である、ニコラス伯爵。
彼らの配下となったのは、ひとえに『二国の全てをシュヴァルベに』という理想から。
二国の合併がかなえば、最初の内は国民間の遺恨が残るだろうが、それでもいつかはそれも薄れ行くはず。
シュヴァルベの士官学校に通っていた生徒たちが、開校からしばらくは過去の遺恨でギクシャクしていたのが、年月を経て自分が教官になる頃には、穏やかで平和な空気に染まっていたように。
その為に必要だと言われれば、ずっと忌避してきた血腥い仕事も厭わなかった]