― 夜の講義 ―
>>806
いかにも、少尉。正解だ。紙に描ける魔法陣の数だけ可能だ。
尤も、精度のよい版を作成するのがなかなか骨でな。
こればかりは技師を育てるより他ない。
[主に私財を投じて育てました…。ごはん食べられなくなる程度に。
その辺の事情は、一番付き合いの古い友人がご存知であろう]
そう、これは、魔力というエネルギーを利用した科学技術だ。
だからこそ、こういう手品よりも――
[その後の言葉を続けず。
革手袋の上に落ちた、冷えた空気中の水分の結晶物を、そっと潰さずに見守った。
遠くで。人の悲鳴が聞こえたような気がする]
[笑いもせず、泣きもせず。泰然と燃える炎を見つめる女を、「魔女」と、兵士たちは畏怖をこめて呟いた]