[やがて、病室を後にするマルシュナー少尉の後ろ姿に、伯爵夫人は小さく息を呑む。>>236顔立ちも、物腰も、本人達の言う通り似てはいなかったけれど。後ろ姿は、はっとするほど似ていた。母親が見間違うほどではないにせよ。戦況は激化し、若い将兵も次々と前線に送られているという。ステファンも、シュヴァルベへの配属が決まっていたのだ。息子と同い年だという彼もまた、死地へ赴くことになるのだろう。扉が閉まった後。どこか張り詰めたような彼の後ろ姿を思い、そっと目頭を抑えた]