[上から下まで本の表紙を眺め――。だんと拳を机に打ち付けた。表紙の絵自体は、自分に似た男が、リエヴルによく似た男の頬を両手で挟みながらなぜか見ている読者を睨みつけているといった感じでまだ我慢しようと思えば出来る。が、帯の言葉があまりにも扇情的すぎる。そもそもこの寮長というのは男なのか、女なのか。子供というからには女なのだろうが、表紙の絵が男同士なことが推測が間違っている不安を与える。まさかと思いつつ、震える手でページをめくり]