[新参の彼に身軽く動かれては、面白く思わぬ者も居よう。
足を引く者の出ないとも限らない。
故に男は、それを己の指揮下にあるものとして形を整えた。
取り立ててゲルトに言ったことはない。
隠してもいないから知っているかもしれないが、
別段口に出して彼へ告げたことはない。
ただ、彼を直接指揮下に置くにあたって始めたことだ。
彼が彼らしく、その力を揮えるように…自由にあるように。
上は責任を取れば良い。
そのように在れるだけの信頼は、彼の上に置いたつもりだ。
綺麗事だけじゃない。そうして部下が最大限の力を奮えるなら、
それは必ずやランヴィナスの為になるはずだった]