ならず者 ディーター

［──ディーターとゲルトは同い年だ。
歳の頃が近い人間がそもそも珍しいのだが、同い年になるともっと珍しい。
ただ──ジムゾンとオットー、ディーターとゲルトが同い年、と言われると急に希少性が下がったような気がするのは、どうしてだろう。

昔から、「眠たい」と昼寝してばかり──どうも病気らしい──だったゲルトと、それでも一緒にいることが多かったように思う。──というか、寝ている人間の周りは基本的には静かだ。無論、騒がしいこともあるだろうが。

だから、ディーターはゲルトの隣で本を読む事が多かった。
静かだし、邪魔されることもないし。それでも、おそらくジムゾンはそれでもこっちにすっ飛んできただろうし、大抵はそのまま諦めてジムゾンに連れていかれるのだが、たまにゲルトが起きている時には、

「よし、パス。このクソガキたのんだ、きょうだい。」

なんて言って。そのまま横流しをするように、起き上がっているゲルトの膝の上にジムゾンを乗せたこともあったかもしれない。］