― 私室にて ―
[宛がわれたテントは1人用だった。女性として気を使われているのか、旧友らの差し金かはわからないが、手足をのびのびと伸ばせるだけで幸せである]
[シロウから受け取った通信機を、ものめずらしげにランプの炎に掲げてみている]
きれいな、緑色だ。
……ノトカーのとは違う。この深みは、グレートヒェンの瞳の色だな。グレートヒェン。君も、この戦いを見ているのだろうか……それとも天上で安らかに眠っているのだろうか……
[石と石の情報がそろえればそれは良質の通信機の役割として機能する。
花形の魔法石の研究とは一線を画した部門にいたこともあり、倫理上問題になるその本質については、技術局でも触れることがなかった。
誰かの目を犠牲にすることで得られる技術など、露呈すれは市民の反感しか買わない。知るのは製造者らとその製造を支持した上層部のごく一部分だろう。
罪深さにも気付かずに、綺麗な石だ、と零した*]