―回想:メリオール ある日の午後―
[>>724>>725>>726>>727>>728>>729
セルベシア王女であると同時にメリオール王族である”彼女”に接近を試みたのは、必然だった。
下心や打算よりももっと明確な目的を以って、自分はそこに置かれた駒だった。
彼女のおかげで学生という平穏な生活を得る機会を得たと思えば、感謝してもいいのかもしれない、そんなことをぼんやりと考えていた矢先。
徐にタイガが口に乗せた言葉に満面の笑みで応える。]
とーぜん。無いわけないっしょ。
隣国のお姫様よ?仲良くしとけばイイことあるかもしれないじゃない?
[あっけらかんと本人がいようがいまいが言い放つのは常と変らない態度だろう。
琥珀を細める様子に、良心が痛んだりはしない。
ただ、
遠い昔に喪くしてしまった、憧憬を幻視するような錯覚を覚える。
少し、眩しくて、直視できなくて。だから笑う。]