へ?俺に?[ 2月に行われるチョコレート祭り。慕う相手に心を込めたチョコレート菓子を送るお祭りの日は、数少ない女子生徒の挙動が気になって、全男子生徒がそわそわしてしまう日だ。無論、男同士のやり取りもあちこちで見られるのだが――眼の前に立っている西寮のマドンナことユーリエが、頬を赤らめてノトカーに桃色の包みを手渡そうとしていた。 ]あっ、ありがとう。[ あまりのことに思わず素でお礼を言ってしまう。二人の間に長い長い沈黙が流れた、あの日――。 ]