[行き場を無くしていた所に舞い降り、己が存在を縛したもの。
彼のひとがなした事が多くの痛みを呼び起こした事、そして、それに自分も関わっていた事は、苦い記憶。
けれど、行き場のない半魔の娘にとっては、彼の存在は拠り所で。
呪の縛に基づく主従ではあったけれど。
娘の内には確かに、彼のひとを慕う気持ちも存在していた。
それは、対なる陽へ抱くものとはまた違って、けれど、同じく重くて。
だから──その消滅の際に口をついたのは、拒絶。
きえないで、おいていかないで、と。
紡げぬ言の葉が集約されたものだった]
なんで……今……。
ずる……い……。
[今までは抑えて、これからも眠らせておこうと思っていたのに、不意打ちで揺らされて。
視界まで滲んできて、口走ったのは、こんな言葉]