[ 父の書斎にある本棚を大きく右に動かすと、地下室に続く
扉が現れる。よくある隠し部屋だ。
ここの存在はまだ軍には知らせていないが、教える事にはなるだろう。
ギシギシと鈍い音を立てる本棚をスライドさせ、
ランプを手にして地下室に続く梯子を降りる。
そこは父の研究室だった。
妹と入籍したギリアンは、ここの存在を知らされただろうか。
知らされずとも、おそらく調べつくして見つけたのだろう。
そして、欲しい情報を入手して――
遺体の状態から、両親は銃火器による発砲で即死。
妹は、両眼がえぐりとられていた。
抵抗したのだろう、全身に打撲の痕。
他にも色々あるが思い出すだけで
全身の血が煮え滾り、気が狂いそうになる。 ]