すみません。なんでもありませんから。[さらりと教師にはそう告げ、席についたものの。授業の内容は上の空。再び会えた喜びと、変わってしまった関係。離れてしまった距離。今更、昔の既知であることは誰にも伝えないまま。周囲から見れば、優等生と素行不良の問題児。用事がなければ会話を交わすことも稀な仲。何故か二年生から授業に出てくるようになったその姿を、気づけばいつも目で追いながら――現在に至る。*]