[ ナイジェル・ラムスドルフは科学バカだった。
母はその理解者で、父の繰り広げる魔石話、科学技術の話、
何でも耳を傾けていた。意味を理解していたかは不明だが。
ナイジェルは魔石と同じように人体にも魔力は宿ると考え、
妊娠したシュテラに魔石と一緒に煮詰めたミルクを飲ませ、
時には太陽の光で十分に乾燥させて粉砕した魔石を
食べさせたことすらあった。
そうして生まれた長男は快活で身体能力の高い子供だった。
次も同じようにした。生まれた長女は、足が悪かった。
グレートヒェンの足の神経組織が破壊されたのが
魔石のせいだったかは分からない。
また、健康に見える長男ノトカーは心に何かが欠けていた。
それは表面化しづらい問題だったので誰も気づく事はなく。
二人は育っていった――。 ]