***─ 明けて・洋上、擬装商船カストル ─[湾を抜けだした船の上を、カモメが一羽高く飛んでいく。 会食の翌日に、昼になる前にはシコン港を出た二隻の船は、 海峡北の海岸沿いに進路を取っていた。 航行を監視するリオレ島からは距離をとりつつ、 フリカデル島を回りこみストンプを目指す航路は、 途中まで、普段商船が使うものをなぞる。] ────。鳥、か。[空に向けてかざした双眼鏡の円の中を カモメは東の方へと過ぎていった。]