― 回想 ―[入学式の後、張り出されるクラス名簿を見に行った時。自分の名前を探すさなか、ある一点で目が止まった。『申 炉』、と見覚えのある文字の羅列。割り当てられたクラスは違う。まさか、と思いつつ。珍しい並びで同姓同名だとかないだろうと。それからしばらく、休み時間の合間に移動を装って彼の名前が書かれていた教室の前を行き来する。しかし、覚えのある姿は見つけられないまま。]