― 翌朝・温泉宿 ―
この辺りでは、乳牛を飼うのは難しいから、牛乳がまず手に入らない。そして砂糖も上質のものは希少で値段も高い。
[ だから作る事の出来るプリンもどきはこれが限度だろう、と説明して、カナンの顔を見る ]
リリ大使。
君は、外の世界の文明が、この国の生活を向上させると言った。
だが、新しいものを作るためには基本的な資源が要る。
君たちが子供の菓子に使う砂糖が、この国では高嶺の花であるように。
それらをこの国に、売りつければ、暴利をむさぼることもできる...そう考える者もいるだろう。
[ 男の語るのは商人の倫理 ]
それを国単位で、行おうとする国が入り込めば、ナミュールは戦争とは別の意味で破壊される。
[ 外敵とは、武力をもって攻め寄せるものだけではないのだ、と、そう言って ]