― 回想 ― 皇帝自身が出てくるというのは、ある意味僥倖だが。[先日、タクマに向け語った言葉だ。] …いや。息の根を止める為じゃない。 それよりも──…首筋に刃を突きつけるため、かな。 俺の見るところ、モルトガット皇帝は一代の英雄だ。 力と自信に溢れ、己の正義のために動いている。 敗者や元敵対者でも己の正義を認めるものには寛大──… 恐らくは、彼自身の認める者に対してそうだということだろう。