…恵み…恵みか、悪くない表現だ。 そうだ。格言にはこうある、『情けは己が為に』。 いつか風の水の様に巡り還る恵みの為に、他者を助けるのは決して悪い事ではない。 尤も、私と君の思想がどこまで繋がるかは果たして知れん。 違えた時は違えた時。そう割り切るしかないのもまた摂理。 だが、私達の関係は、やがてその足を揃えられる物だとは考えるのだ。[若い。男と対照的な、青年の邪気の無い瞳を眺めてそう感じる。静けさの中で紡がれる声は柔らかく、悪意を持てば容易く手折れそうにも]