[敵対するのは、国と国だけではない。同じ国の中でも理想を違える者もいるし、同じ土地を巡って争う勢力もある。シュヴァルベの地は、奇跡の楽園だ。全ての人々が共存できればと、かつては願っていた。今もその願いは変わらないけれど、同じ地を「神が自分たちに与えた故郷」と信じる者同士に、それを強いることはおそらくできないだろう]…………。[強くなり始めた夜風が、ひどく冷たかった]