[だが、士官学校にいたからこその人脈というものもある。
大公の孫、トルステン氏と親しげに話す姿を、羨望の眼差しで見る者もあった。
そして、その会場では新たな再会があった]
……?
[誰かをみつけたらしく、父が苦い表情を浮かべた。
が、次の瞬間には笑顔になって、その相手に近づいてゆく]
『これはこれは、ミュラー軍務大臣どの。ご機嫌いかがですかな』
[「政敵」として有名な二人の邂逅に、僅かな緊張が周囲に漂う。
が、皆慣れっこなのだろう、すぐに元通りの華やかなざわめきが戻ってくる。
その傍らで、ステファンは別の人物の姿を注視していた]