[たわいない礼だが、彼は、少しは喜んでくれたのだろうか。扉を閉める瞬間にふと思い出し、唇を自嘲に歪める。――今は二人の間にいたダーフィトは此処にいない。いや、……あの頃の自分も、いない。だから、彼に渡せるものは、そっけない、気遣いの言葉だけだった*]