――帝国前進拠点:執務室――
[果たして、ヴィンセントはどうであったか。
ノトカーとウェルシュが執務室を訪れれば、中へと通す。
二人ともに、記憶の中の像とは大きくかけ離れていて。
その姿を大きく違えた者と。
姿はそのままなのに、異なる笑顔を浮かべる者と。
やはり、戻れぬ状況と過ぎ去った年月を思わせる。]
呼びつけてすまない。
連絡は受けているとは思うが、本日より俺が指揮を執ることとなった。
………………二人とも、よろしく、な。
[旧知の者に挨拶するのは、どうも落ち着かない。
違ってしまった互いの立場を、意識してしまうから。
ゆっくり息を吐き、そんな思いを振り払いながら。
そっと、最新式の通信機>>599を二つ、差し出した。]