[そのまま後ろへ一回転、身体を宙に跳ね上げる。軌道の頂点で人の形を崩し、芝を踏み散らして降り立ったのは四足の姿だった。鬣と同じ金を宿した瞳で戦いの獣をひとにらみし、喉を逸らして鼻先を天に向ける。] ガアアァァァ ォォォ−−−ン[迸るのは心を砕き恐怖に染め変える獣の雄叫び。響き渡った城館の中で使用人たちが震えあがりへたり込むだろうが、この際気にしなかった。残響が漂う中、再び相手へ視線を向ける。鬣を逆立たせて威圧する姿には、群れの長としての気迫が漂った。]