[腕の下で、仔の動きが鈍くなる。鬼気が減じた、と感じたのは一瞬のことだった。肉体の損傷を厭わぬ動きで彼の顔がこちらを向き、煮え滾る銅のような目と視線が合う。不意に捉えていたはずの感触が失せ、燃えたつ陽炎が目の前で揺らいで形を変えた。] は、ッ……![凶暴な肉食獣の爪が肩口を捉え、血が飛び散る。それ以上を許さずに上体を逸らして、鋭い牙に空を噛ませた。]