でも、シュヴァルベにはまだ足らないものがあった。
シュヴァルベには、自らの出自を口にしてはならないという規則があり、
それゆえに、自らの国のありかたや、互いの国の関係をどうしていきたいか。
そんなことは一切語ることが出来なかった。
今回の戦争でまた関係は悪化するだろう。
またシュヴァルベを作るなんてことすら、すぐには出来ないかもしれない。
それでも最初の1歩からはじめなければならない。
今度は自らの理想を語れるシュヴァルベ以上のものを――。
もし、そうしていれば。
リエヴルが何を考えていたのか知ることが出来たのなら。
戦争の火種を消すことも出来たのかもしれないから。