― 帝国前進拠点 ―
[ 中隊を部下のハーランに任せて、准将の待つ執務室へ向かう。
公爵…トゥーレーヌ准将。
士官学校を出てから公の場で会ったことはあるが、個人的に
話したことは一度もない。
ラムスドルフ家は公国にも領地を持つ伯爵家だったため、
ノトカーは学校でも偽名を使っていなかった。
そのため「あのノトカーか」と分かりやすかったであろう。
――というより、名前が同じでなかったら気付かれないかもしれないほど、学生時とは見た目も印象も変わっていた。
胸にざらりと付けた勲功章の数が軍入り後の彼を物語っている。
即ち、どれだけ公国兵を殺してきたか。という証。 ]
リエヴル生徒会長…か。
いや、そんな風に呼ぶわけにはいかないが。
[ 執務室の前まで来て、ウェルシュの姿がもし見えれば
一言二言は会話を交わしてから中に入るだろう。* ]