―高台寺―
[拝観料250円を2人分支払って、足元を照らす灯りに導かれるように順路に従い境内を歩く。
ライトに照らし出されて暗闇に浮かぶ建立物は、幻想的で別世界のような空気を纏っている。]
昼間は本当にごめん……。
あの後、クラスの奴らに何か言われなかったか?
[カメラにその数々を収めながら中門をくぐり。
闇に浮かぶ紅葉の木々を、鏡のように映し出す臥龍池を眺めながら。やっと口を開く。
紅葉が赤く色づくには、まだ少し早いようだ。]
恥かかせるつもりは、なかったんだ……。
ただ…、
お前に触れていたくて…。
[小さな小さな、声。]