[気づかなかった。
彼――彼女とは同じ寮であったし、少なからず顔を合わせたり言葉交わしたりする機会はあったのだが。
幸いにか残念なことにか、男としては美味しい思いが出来てしまったりするどっきり事件には遭遇しなかったようだ。
堅苦しい口調を崩して。
気まずそうに視線逸らして咳払いをした。]
あー……すまん。
フレデリカ・ファロン。で、間違いないよな?
士官学校の、東寮に居た。
改めて、俺はレナト・デ・フォルテアだ。
あの場所では、レト・コンテスティと名乗ってた。
[ひとまず、懐かしい者との再会を喜ぶように瞳を細めるが。]